外国人で溢れかえる国・家

2015年03月28日

 Die Staatlichen Kunstsammlungen Dresden-
 14 Museen mit Werken aller Kontinente:
 Ein großes Haus voller Ausländer!
 Der Stolz des Freistaats.

 ドレスデン国立美術コレクションは
 あらゆる大陸の作品を14の美術館に収める
 外国人でいっぱいの大きな家
 (それは)自由な国の誇り


  毎日図書館に直行ではあまりに味気ないので、今回は断念したシャウシュピールハウスとゼンパーオペラのお顔だけでも拝もうと劇場広場に寄り道してみました。そこで、ツヴィンガー宮の美術館の修復箇所をデコる覆いに書かれていたのが、上に引いたメッセージです。さらにゼンパーオペラの横にも、仮設ステージが設けられ、横断幕が掲げられていました。

 Freistaats für Offenheit und Torelanz.
 Offen und bunt ist schön!

 自由な国は懐を開き寛容をよしとします。
 オープンで多様なのって素敵!
 (もっと素敵な訳を求む)

 さて、このようなことを、なぜわざわざ言わねばならないのか。
 一瞬そう思ってしまったほど、実はこの光景を目にするまで、今年に入ってからpodcastニュースでさんざん見聞きしたドレスデンに来ているということが、頭から抜け落ちていました。つまり、移民の制限を求めるデモが毎週月曜に大規模に組織されることで、外国人排斥運動のメッカと化した街、ということです。特にパリの「シャルリー・エブド」襲撃に前後しては、安全のため初めてデモを禁じた州政府と、表現の自由の侵害を難じる国との間に見解の相違が生じ、連日様々な角度から議論が紹介されました。
 中でも興味深かったのは、ZDFが独自に行った月曜デモの参加者へのアンケート結果です。それによると、月曜デモの参加者は、ネオナチなどの外国人排斥に積極的な社会層に対してこれまで形成されてきた「教育を受けていない」とか「失業者」といったイメージとはほぼ逆だったそうです。この事実は、当事者を二分し、さらに当事者でない人々を無関心でいられる立ち位置に切り離してしまう問題を、改めて解きほぐすための出発点としなければならないものではないでしょうか。実際、主催者が記者会見で口にした「私たちは”普通の人間”です」という言葉は、見解の異なる人々との対話の準備があることを示すためのものでした。このようにドレスデンが顕在化させた議論は、いくらかの条件の違いを含む「私たち」の問題においても、対話を求める際の参考になるかも知れません。

 滞在したのは月曜ではなかったので、観光客しかいませんでした。それでもこの劇場広場には、なんとか折り合いをつけようとしながらも、決して重なり合うことのない論理が可視化されているような気がします。そして、そのようなスローガンに回収されない声も、もっと聞きたいと思う出来事でした。

 ちょうど、観る予定をしていたリミニ・プロトコルRimini ProtokolのSituation Room軍事歴史博物館 Mililärhistorisches Museumも、ますます楽しみに。

 

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